「2人の子供って、ネコなんです」と、トモコが言った。
一瞬、俺の思考が停止した。
俺:「は? ねこ?」
トモコ:「うん。猫です」
そう言うと、彼女は悪戯っぽい微笑みを浮かべた。
…運命の女神サマが俺に微笑んだと思った。
俺は、初対面でいきなり、トモコに騙された。彼女は俺を試したのだ。
そして、彼女が既婚者であることは俺の勘違いと妄想の産物だった。
トモコは独身で、彼氏募集中。市内の研究所に勤める事務員で、公務員宿舎で一人暮らしをしているが、彼女曰く、「猫と一緒に3人で住んでます」とのことだった。
彼女は、一気に俺の射程距離圏内に入ってきた。
トモコは気付いただろうか?
俺の眼光が鋭く輝いたことに。
つづく。