俺は今、酔っている。
今の時刻は、6月20日27時19分。
いつもならとっくに寝てる時間だけど、いまはかなりハイテンションになっているのと、酔った勢いでこの文章を書いてる。
たぶん、今日一日で起こったことが、今後の俺の日常生活に大きな波紋を残すことになる。
それがわかっているから、雨で濡れてびしょびしょになって帰ってきて、本来ならば真っ先にシャワーを浴びにいくところ、それをせずにこうしてパソコンを立ち上げ、キーボードを叩いている。
さて。何から話そうか。
とりあえず、時系列順に書いていくのが一番わかりやすいだろう。
酔いのせいで意識が朦朧としているため、誤字脱字がたくさん出てくると思う。修正せずにそのままいくから、臨場感を楽しみながら読んでもらいたい。
今日、6月20日は、フランス人の友人「J.A.」からパーティーへ招待されていた。
彼が主催する CLUB PARTY だ。
主旨は、四人のDJが様々なジャンルの音楽をかけ、呑んで踊ってのディスコパーティー、というもの。
「J.A.」はこの類いのパーティーを毎月、あるいは毎週のように開催していて、毎回、最低でも50人以上の人間を集めている。
彼から聞いた話で、過去、彼の友人の男性が「J.A.」のパーティーに参加した際、たった一人で五人もの女性を連れてきたという話を聞き、『俺も負けてられないな!』と意気込んだ俺は、今回、「J.A.」に、「そのパーティー、女の子を5〜6人連れて参加するよ」と大言壮語。
そのため、二週間ほど前に、カリスマ美容師のアユミちゃんにこの一件を打診。アユミちゃん本人も含め、5人以上の女性を誘い、連れてきてもらえるように手筈を整えた。
アユミちゃんはこの件を快く了承。
当日、つまり今日になるまで、アユミちゃんはどんなに美しい女性たちを引き連れて来てくれるのだろうと、楽しみに待っていた。
しかし。
どうやら、今回のPARTYの詳細が旨く伝わっていなかったためか、あるいはこのイベントにあまり魅力が無いと感じたからなのか、アユミちゃんの誘いを受け、興味を持ち、参加を表明した女性はたった一名。
俺はそんなことでガッカリしたりする人間ではないが、
ただ、「J.A.」に「5〜6人連れて行く」って言った手前、ちょっとカッコ悪いな。って思った。
アユミちゃんも申し訳なさそうにしていたが、「その分俺たちが楽しもう。ハーレムを作ってやるよ。俺のためのじゃなくて、アユミちゃん達のために」とフォロー。
PARTYの時間は22:00時からだ。19:00時に待ち合わせして、居酒屋で軽く呑み、その後パーティーに乗り込もうということになった。
ちなみに、アユミちゃんが連れて来たのは、アユミちゃんの実兄の彼女。
【マスミ】という名の女性。俺とは初対面だ。
二人とも極めて美しい女性だし、「この二人の美しさは五人分に匹敵」と、自分でも訳の分からない理由をでっちあげて、連れて行く女の子が二人になってしまったことについての折り合いをつけた。
俺たちはまず、つくば市天久保にある、M'S倶楽部という名の居酒屋へ向かった。
食前酒的、あるいは準備運動的、ウォーミングアップ的なここでの呑み喰いだけでも、非常に楽しいイベントだった。
約3時間の会食はあっという間に過ぎていった。
アユミ & マスミ、両名がどう感じてたかは不明だ。ちなみに、二人ともこのblogの読者。彼女たちには「相対性理論」の詳細について熱く語っておいた。
もし、M'S倶楽部で俺と過ごした3時間が、非常に長いものに感じられたなら、この記事のコメント欄にて、異議申し立てをおこなって欲しい。
22:00時を過ぎた時点で、パーティー会場へ移動。
基本的に団体行動があまり好きでない俺には、3人程度での行動が非常にいい感じで、しっくりくる。
もしかしたら、いや、マジで、調子に乗って5人もの女性を引き連れてなくて良かったのかも、と思った。
この時点ですでにイイ感じに酔っていた俺は、5人の女性に囲まれてのハーレムを期待していた気持ちはスッカリ失せ、それよりも、この二人の女性にどうやってハーレムを体験させてやろうかと、歩きながら真剣に考えた。
ここで俺の頭の中に浮かんだ答えは、最高にシンプルなもので、笑えるものだった。
つまり、「パーティー会場で『トップ5』に入るイイ男を全員、二人に引き合わせよう」というものだ。
ちなみに、今回のパーティーでは、俺の知り合いは「J.A.」、彼一人しかいない。
要するに、この一戦は完全な『アウェイ』での挑戦になる。
俺は萌えた。いや、違う違う。燃えた。
会場に着くと、既に30人以上の男女が集まって、音楽に合わせて踊ったり呑んだりしながら楽しみ、最高にイイ雰囲気になっている。
部屋に足を踏み入れた時点で、今日、アユミちゃんからのこのイベントへの招待を断った女性たちが、大変な損害を被った、あるいは人生における貴重なチャンスをみすみす見逃したということを確信した。
男性である俺の視点から見て、この部屋には『イイ男』がたくさんいたからだ。極めて自己中心的な自己分析だが、『イイ男』を見分けるこの能力には自信がある。
紛れも無く、ここはハーレムだ。
俺にとってではなく、彼女たち二人にとっての。
30分後までには、この二人に実際にハーレムを体験させてやる。
俺たちは部屋の隅の一角に陣取り、乾杯し、その場の雰囲気を楽しみはじめた。
が、ゆっくり寛いではいられない。
俺は、いつものハイテンションを装い、二人に切り出した。
「この部屋の中で一番イイ男は誰だと思う?」
辺りを見回しながら、その答えを言い渋る二人に、「やっぱ俺が一番イイ男でしょ?」などと冗談をふっかけながら、三人で『品定め』をはじめた。
もうすでに50人以上の男女が集まってきている。このパーティーの参加者の大半は外国人だが、俺たちの目当ては、いや、俺の目当ては、もちろん、フランス人。
何度も言うが、俺の知り合いは、「J.A.」ただ一人で、他の人間はまったく見ず知らず。彼には悪いが、「J.A.」は今回は対象外とさせてもらった。
今宵、『アユミ & マスミ』両名にハーレムを体験させることは、俺の、俺による、俺のための挑戦なのだ。
俺は、ある一人の男性に目を付けた。
部屋の中にいる他の多くの人たちに比べ、背が高いため、ひと際目立っている、金髪で、眼鏡をかけた青年だ。
身長はたぶん、190cmくらいはあると思う、それに、純粋にイケメンだ。
少し様子を観察してみると、周囲への気づかいも良く、性格も良さそうだ。優しさや人柄の良さが人相にもにじみ出ている。
直感的にも、極めて緻密な分析においても、彼は『イイ男』だと、俺は判断した。
忘れてはいけないが、この時点で、『イイ女』のチェックも怠ってはいない。
むしろ、『イイ女』のチェックなら、最初にこの部屋に足を踏み入れた瞬間に既に終了していた。
このことについてはもう少し後で書くことになる。
『アユミ & マスミ』に、「彼はどう?」と問いかける。
曖昧な返事に、俺はちょっとした居心地の悪さを感じ、行動で訴えかけることにした。
俺は彼女たちに、「このパーティーの参加者で、『トップ 5』に入るイイ男は全員俺たちのテーブルに呼ぼう」と提案していたが、そもそも彼女たちはこの提案自体を真に受けることなく、ある種の冗談だったと思っていたようだ。
「ちょっと待ってて」
そう言って席を立ち、彼のほうに歩いていく俺を見て、「え!? ホントに!?」と呆気にとられている彼女たちの表情がたまらなかった。
カウンターでターゲットの男性に近づく俺。彼は、ちょうど注文を終え、飲物を手にしたタイミングで、声をかけるには絶好だった。
彼の肩を叩き、話しかける。
ここはもちろん、フランス語でだ。彼がフランス語で話していたのはチェック済みで、フランス人であるということを確信した上でのことだ。
「キミはフランス人?」
DJがかけている音楽があまりにもうるさいため、俺の声が届かなかったのか、あるいは俺の発音が悪かったからなのか、彼が俺に聞き返す。
俺はもう一度、「キミはフランス人だろ!?」と大声で話しかける。
「そうだ」と答える彼。
「さっきから見てて、すっげぇカッコいいと思ってるんだ。ちょっと話がしたい」
…あくまでも、ゲイだと勘違いされないように、そういう類いの配慮は言葉のニュアンスでカバー。
「女の子を二人連れて来てるんだ。テーブルで一緒に呑もう」
「OK!」と快く引き受ける彼。
秒殺。俺の勝ちだ。
俺が彼をテーブルに連れて行ったときの、『アユミ & マスミ』の満足したような顔。その顔を見て、俺も満足だ。今夜は刺激的な夜になりそうだ。少なくとも、彼女たちにとっては。
そして俺は、自分自信に課した使命を全うすることができるだろう。
彼女たちにとっての『ハーレム』の実現を。
「約束どおり、まず一人目を連れて来たよ。彼がNO.1だろ」
大きな微笑みを浮かべる二人。
どうやらスタートは好調なようだ。
自己紹介を済ませ、彼の名が「B.P.」であることを知った。
南フランス、バスク出身で、言語学を専攻してる。
そう。言語学。故に、日本語も極めて堪能。これで二人との会話も問題ないだろう。俺たちはこの偶然的な事実に驚きを隠せなかった。これこそ運命だ。そして、必然の出来事だ。
「次は誰を呼んでくる? 指名して。誰でもイイよ。俺に任せて。必ずここに連れてくるから」
最初の成功体験で気を良くした俺は、再び彼女達に大口を叩く。
しかし、「B.P.」との会話だけで「お腹いっぱい」になってしまっている彼女たちは、ハッキリ言って、俺の提案に乗り気でない。
そのかわり、「B.P.」のテンションが異常だ。
かなり絡みまくってくる。彼女達にではなく、…俺にだ。
俺に対してかなりの興味を抱いてくれたようだ。もちろん、俺が引き合わせた二人の美しい女性にも興味を持ったのは確かな事実だ。彼女達二人が帰った後に、「B.P.」から直接、彼女達への気持ちを聞くことになる。
「すごく綺麗だった。もっと話がしたかった」と。
「B.P.」と俺とは、かなり気が合うことがわかり、アドレスを交換することになり、「かならず連絡を取り合おう」と、彼のほうから提案してきた。もちろん、喜んで承諾。また新しいフランス人の友人ができた。
24:00時を過ぎた。二人はそろそろ帰る時間だ。俺はまだ、ここに残る。
「B.P.」を呼び出し、「彼女たちにキスを!」と言う俺の要求を受け入れ、彼は二人にキスをした。
そして二人は帰った。
俺が頭の中で想い描いていた『ハーレム』とは形を変えたけど、間違いなく、二人にとっては刺激的で最高の一夜になったはずだ。そうであって欲しいと心から願ってる。
さて。一人になった俺。
ここからはフリータイムだ。
それまで5時間弱、彼女たちを楽しませるために奮闘してきたが、これからは、俺自身が楽しむ時間。
俺の独壇場を作り上げるべく、早速行動開始だ。
つい先ほどまで『イイ男に声をかけよう』と意気揚々としていた俺に、マスミは「女の子に声かければいいじゃん!」と言った。その言葉に対し、俺は、「いや、だってさ、俺がそんな事したら、秒殺だから」と答え、彼女たちのための『男あさり』に専念していた。
彼女達二人が帰った今。
今こそ『秒殺』を証明するときだ。
二人がいなくなった今だからこそ。
自分で言ったことを実行するときだ。
二人に証明するのではない。自分自身に証明するのだ。
それは、自分自身のアイデンティティーの向上のためにだ。
有言実行。
実は既に、ターゲットは決めてある。
最初にこのパーティー会場に来たときに、一目見て惹かれた女性がいた。
『一番輝いていた』タイプの女性ではないが、そのルックスが故に、彼女が俺の眼に飛び込んできたのだ。
一言で語ると、彼女は『エキゾティック』だ。
どこの国の出身の女性だろうか? フランス人でないことは確かだ。
アラブ系の人種の血が混じっているように見え、そのため、よりいっそう異国情緒が漂う雰囲気を醸し出し、魅力的に見える。
長い黒髪、それをまとめるキラキラ輝く可愛いカチューシャも似合っている。目鼻立ちもハッキリしていて、服装のセンスも抜群だ。
足下はヒールの高い華奢な靴を履いていて、スタイルもよく、完璧に、俺の好みの女性だ。
友人も多そうに見える。周りにいる取り巻き連中はみんな彼女の知り合いだろう。
そして、さっきからずっと彼女の隣にいて離れない日本人の男性は、認めたくないが、おそらく、彼女の恋人だろう。しかしいま、テンションが上がってきている俺にはそんな事はなんの障害にもならない。
「B.P.」や「J.A.」にからまれながらも、俺はその瞬間を狙っていた。
彼女が群れから離れ、一人になる瞬間を。
俺は獲物を捕らえるハンターになっていた。
いや、男は原始以来、常にハンターであったのだ。
そして、ハンターでなければならないのだ。
バーカウンターで、新しくできた友人たちと共に馬鹿なハナシをしていた俺に、そのチャンスは訪れた。
彼女がバーカウンターにやってきて、しかも俺のすぐ隣に立った。彼女の向こう側には恋人らしき男性がいるのが気になる。二人で楽しそうに会話をしているが、音楽がうるさくて会話の内容が聞き取れない。いや、そんな事はどうでもいい。
「日本語、しゃべれる?」
彼女の二の腕を触りながら話しかけたものだから、
ちょっとびっくりした表情を見せながら「はい。話せます」と、俺に視線を合わせる彼女。
間近だとよりエキゾティックでセクシーに見える。
「良かった。コミュニケーションできる」
「フランス人? じゃぁ、ないよね?」
「どこの国の出身?」
「学生?」
「誰と一緒に来てるの?」
彼女の反応を確認しながら会話を進めていくが、最初はどうしても一方的な感じにならざるを得ない。でも、それはあくまでも最初だけ。
彼女の名前を聞き出す頃にはすっかり『イイ感じ』になっていたし、隣にいた恋人らしき男性は何処かへ行ってしまっていた。それに、恋人だというのは俺の思い過ごしだったらしい。彼女曰く、「ただの親しい友人」…嬉しい誤算だ。
彼女の名前は【DILNOZA】(ディルノザ)と言った。
出身はウズベキスタン。
【DILNOZA】とは、ウズベク語で「可愛いハート」を意味するそうだ。
日本語は、かなり流暢に話せる。
ディルノザは「そんなことないです」と謙遜していた。
彼女に声をかけてからわずか数分間しか経過していないが、もう既に俺に対して強烈な興味を持ってくれていることが、その表情と態度を通して垣間見ることができた。
これからディルノザとの話が佳境を迎えるところだが、いま、この文章を書いている時点で、時計の針は28時42分を指している。俺は今、猛烈な睡魔に襲われている。俺の体力はどこまで持つだろうか。
3時間後には仕事の準備をはじめなければならない。
ハッキリ言って、限界が近づいてきている。もう眠りたい。
続きが知りたい読者もいるだろうが、これ以上書き続けるのは困難になってきた。
しかし、詳しい描写はまた次回以降にするが、結果だけは書いておく。
いま、俺の携帯電話にはディルノザの電話番号とメールアドレスが登録されている。
もちろん、「B.P.」のアドレスもゲット済みだ。こちらは後で【アユミ & マスミ】両名に教える手筈になっている。
持っていったデジカメには、ディルノザとのツーショットの写真も納めてある。
彼女の頬にキスもした。
『さよならのキス』はしていないが、『おやすみ』のメールは送ってある。返事はまだ、ない。
そうだ。『秒殺』の件に関して、書くことを忘れていた。
俺にとっては、今日、これまでの時間があっという間に過ぎ去った。
特にディルノザと話していた時間なんてほんの一瞬のように感じる。
きっとディルノザもそう感じていてくれたはずだ。
また再び相対性理論に救われたことになるが、俺は、『秒殺』を成し遂げた。
自己のアイデンティティーを高めることにも成功した。
そして、何よりも大切なこと。
俺は、ディルノザとの関係を進めようと思っている。
いま、時間は28時54分。キーボードを打つ指の動きがおかしくなりはじめてる。意識なんて何分も前から朦朧としている。
書くのは本当にこれで最後だ。
ハーレムは、確かに存在した。
そして、2008年6月20日。今日、この日が、何か素敵な記念日になりますように。
刺激的な夜でした。リアルに(笑
いっせーさんのエスコート(?)っぷりったら、凄かった…『相対性理論』然り『秒殺』然り。でも、おかげ様で、私にも同じことが言えそうです。
ハーレムは、確かに存在した。
あ、ちなみに私は、6月20日を何らかの記念日にする…つもりです。
AYUMIちゃん、また同じようなパーティーがあったら誘ってあげる!