今夜はパーティー!
Episode.3 「The Mega Xmas Party」

12月13日。土曜日。
外国籍の友人たちが住むマンションの最上階で、暦(こよみ)よりも一足先に開催された、盛大なクリスマス・パーティーに参加した!

俺が会場に到着したのは時刻18:30時。
エレベーターに乗って最上階まで登り、扉が開かれると、すぐ目の前にゴージャスで華やかな光景が広がっている。

会場に入ると、すぐ右手に大きなカーウンターテーブルがあり、様々な料理や飲み物が並んでいる。すべて、参加者が自ら作って持ち込んできたものだ。
パンやチーズ、マカロニサラダ、ローストビーフ、グラタンやアッシパルマンティエ、名前の知らない各国の伝統的な地方料理や家庭料理の数々、フルーツの盛り合わせ、リンゴのタルト、クリームチーズケーキ、ポテトチップスなどのスナック類、それに大量のワインやビールで、テーブルの上が埋め尽くされている。

入り口の左側にはソファやテーブルが並び、その奥、部屋の隅には簡易的なDJブースが仕立てられていた。クリスマスツリーも飾られ、細かい装飾も施されている。

部屋の右奥にはビリヤード台が備えられていて、数人のイギリス人たちが夢中になって真剣な勝負を繰り広げている。

おそらく、100名以上の男女が集まっているだろう。

上下真っ白なタキシードに身を包んでいる者。
DJブースに陣取って、音楽をかけて会場の雰囲気をいっそう盛り上げている黒人たち。
赤と白のサンタの帽子をかぶり、場を和ませている日本人の女の子たち。
カウンターの中で料理を盛りつけているイギリス人の女性。

目につくほぼすべての男女が初対面の人たちだ。

とりあえず、顔見知りの友人たちを捜そうと会場の奥へ進んでいくと、カウンターテーブルの片隅で、大きなローストビーフの塊を切り分けているフランス人が目についた。
彼は友人のフランス人「ヤン」だ。
彼の周りを取り巻いている他の友人たちも見つけた。
いつもの面子、フランス人達が勢揃いしている。

DJがマドンナの「Miles Away」をBGMとして流しはじめた。

ここ最近、マドンナの曲を聴いて思い出すのは「ビージャル」の存在だが、彼女は今宵、このパーティーには参加していないようだ。

しかしその代わりに、新しい出逢いがあった。

料理を取りにカウンターに向かった際、偶然隣に来た一人の女性が目についた。

見た感じ、年齢は俺よりも年上。
わずかにクセのある長い黒髪で、ほとんどノーメイク。黒く輝く瞳。細く長く伸びた鼻。薄い唇。身長は俺の肩の高さくらいだ。一見すると地味な感じだが、綺麗な柄のワンピースを身に纏い、エレガントな大人の女性のオーラを放っている。

俺は彼女に興味を持った。
「はじめて会うよな? 誰の紹介で来たの?」と声をかけた。

彼女の名はユカと言った。
俺の友人でもあるステファンからの招待でこのパーティーに来たという。
さらに詳しく話を聞くと、他の俺の友人たちとも面識があるようだ。

「共通の友人がいる」というのは、初対面の男女が迅速に人間関係を築き上げるための、最も効果的で、かつ能率的な潤滑油のような要素だ。
当然、俺と彼女はすぐに打ち解けることができた。

俺は彼女のアドレスを訊き、そして俺のアドレスを彼女に教えた。

さて。
この会場でのパーティーは21:00時までとなっていて、以降は近くにあるバーへ繰り出す手筈になっている。

俺は再び彼女に近づき、「ユカさんも来るよな?」と訊いた。

彼女は笑顔で「行くよ!」と答えた。