学生時代からの友人の女の子、マリーの紹介で、俺はトモコと知り合った。

2003年の夏の日の出来事。俺が25歳のときだった。

当時、俺は独立し、居酒屋を開業したばかり。
経営していたその店に、トモコがやってきた。

ストレートの長い髪と、小さな顔、綺麗な瞳がとても魅力的で、家庭的な雰囲気と独特の大阪弁が強く印象に残った。
華奢で痩せていたが、スタイルが良く、脚のラインは完璧な曲線を描いていて、履いていたミニスカートがとても良く似合っていた。
化粧も薄く、というよりほとんどノーメイクで、どちらかというと目立たないタイプだったが、そんな控えめな美しさに惹かれ、俺はすぐに彼女に興味を持った。

はじめて彼女に出逢ったその日、その時、その瞬間、俺は確かに、運命的な何かを感じていたんだ。

事実、彼女を一目見たときに、「純白のウェディングドレスが似合いそうだな…」と思った。

当時の俺は、親しく交際していた『裕子』という名の女性と別れたばかりで、新たな恋人候補となる女性を探している最中だった。
もちろん、トモコは完璧に俺のストライクゾーン。
絶好のタイミングでの運命的な出逢いに、俺の期待は高まった。

しかし。

「彼氏はいるの?」というベタな質問に対し、トモコは「子供が2人います」と答えた。

ショックだった。

俺は平静を装いつつ「え? マジで? 2人も?」と答えたが、俺の声色は裏返り、トモコは明らかに残念そうな俺の態度を見抜いただろう。

理想的な女性に巡り逢えたのに、その女性には既にパートナーがいる。
しかも、子供が2人?
彼女は俺よりも年下だ。
20代前半で、もう2人も子供を産んでるなんて。ずいぶん若くして結婚したんだな。
旦那さんはきっと、『大きな熊のぬいぐるみ』のような男性だろうな。

…と、勝手な妄想を膨らませた。

でも、このとき、俺は思ったんだ。

「既婚者でもいい。子持ちでもいい。もっと彼女のことを知りたい!」と。

そして、俺はトモコに近づいた。

つづく。