マリアはこの26年間、乙女のような幻想を抱き、男性を美化し、理想化し続けてきた。
彼女のパラダイムをぶち壊すのに、俺ほど最適な人物はいないだろう。

俺は、これまでに知り得た、あらゆる知識と知恵を、マリアに教え込んだ。

古代の陰陽学による太極図が示す意味や、男性のエネルギーと女性のエネルギーの本質的な違い。
生理学的、あるいは心理学的な観点からの男女の相違。
あらゆることが磁石のN極とS極のように対になる、男女の様々なデータや事実を示すことで、彼女の固定観念や既成概念、迷信や妄想の類いを、あるときは少しずつ、あるときは豪快にぶち破り、再構築していくことに成功した。

「男女の違い」、それをマリアに理解してもらうことは、比較的容易だった。

そして、俺が特に力を入れたのは、男心の真実だ。

恋する女性なら誰でも求めるであろう、男心の本質、そのすべてを、マリアに教えることにした。

男性の言動や行動に関する、さらに本質的な話題を展開しようと目論んでいたとき、マリアからの唐突な一言で、俺は壁にぶち当たった。

つづく。