俺は、その出来事を『mixi 事件』と名付けた。

ある日、俺の友人の女の子が、mixi 経由で突然、見ず知らずの女性から不謹慎なメッセージを受け取った。

その内容にビックリした友人の女の子は、すぐに、送られてきたメッセージをそのまま俺に転送してくれた。

以下が、俺に転送されてきたメッセージの全文だ。

2009年12月17日21時56分。

タイトル:突然ごめんなさい


夏紀さんと付き合ってますか?。

私、付き合ってるんですが、ダブってたら別れたいので…。

失礼な質問いきなりごめんなさい。

俺は愕然とした。

俺の友人の女の子にメッセージを送りつけた女性、その女性は、チエだった。

ちなみにこのとき、俺には『ヒロコ』と『ヴァイオレット』、2人のガールフレンドと、他に幾人かのセックス・フレンドがいたが、彼女たちは皆、幸運にも mixi には登録していなかった。

チエは、まったく見当違いの思い込みで、全然関係のない俺のマイミクの女の子にメッセージを送りつけたのだ。

最悪だと思った。

ただでさえ、現段階でチエは俺に対してある種のストーカー気質な側面を見せている。
それだけでもナーバスになるのに、彼女は俺の友人たちや他のガールフレンドたちも巻き込もうとしている。
「このまま彼女を野放しにしたら、いつか必ず修羅場を招く…」
そう確信した俺は、この瞬間にチエとの別れを決断した。

今思えば、遅すぎる決断だった。
彼女との別れを決断すべきタイミングは、それまでにもいくらでもあったのに。


数年前に、親友の一人が、「GEKI、忘れられない女っているか?」と訊いてきことのことを思い出した。

俺は、過去に交際してきた女性たちの顔を思い浮かべながら、「忘れられない女性? あぁ。いっぱいいるよ」と応えた。

もう彼女たちとは逢えないけど、今でも変わらず、ずっと好きでいる、忘れられない女性たち。
別れた後でも、こうしてずっと好きでいられる、そんな女性って、ホントに魅力的で素敵な女性だよね。
でも、その逆だったらどうだろう?

別れた後、その関係を後悔してしまうような女性は?

男女の関係や恋愛のゲームにおいて、「別れ」は必ずやって来る、避けることができないイベントだ。
もし、別れるにしても、俺は「綺麗な想い出」を残したまま関係を終わらせたい。
…そう望んでいるのに、残念ながら、ルナは人生の「汚点」として、俺の記憶に刻まれてしまった。

さて。
当初、俺はこの記事、『その女性は、とても綺麗な人だった。』シリーズを、「Episode.1」だけで完結させるつもりだった。

そうすれば、こんな醜態を書き連ねずに済み、美しい物語として完結させることができたのだから。
しかし、それをせずに、ここまでシリーズ化して、すべてをさらけ出したことには理由がある。

俺は『その女性は、とても綺麗な人だった。』シリーズを、俺自身への警告にしたい。

俺は、盲目だった。

恋は盲目、という言葉があるように、彼女の外見的な美しさに目が眩んでいた俺は、彼女の内面を見抜くための「心の目」の視力を失っていた。

彼女が誇る美しさは、ただの「メッキ」だった。
メッキは、いつか必ず剥がれ落ちる。
そして残念なことに、彼女のメッキも、遂に剥がれ落ちてしまった。

チエと初めて出逢ったのは、2009年9月5日のことだった。
それから約3ヶ月間かかって、俺はようやく、視力を取り戻すことができた。「心の目」の視力が回復したのだ。

2009年12月18日、朝9時23分。
もう、彼女と電話で話をすることさえも嫌になっていた俺は、「チエ。俺、もうオマエとの関係を切るよ。」とだけ記したメールを送信した。

こうして俺はチエとの縁を切り、2人の関係にピリオドを打った。