俺とマリアがはじめて出逢ったのが、3月13日だった。それからちょうど一週間後のその日、3月20日。金曜日。

とうとうこの日がやって来た。

先日までと同じように、俺はマリアの住むマンションへ向かった。
到着したときの時刻はちょうど16:00時。

俺の車の助手席に乗り込んだマリアと、白昼堂々、キスをした。

この一週間の間に、俺たちは何度のキスを交わしただろう?
さすがに彼女も、時と場所を選ばない俺のキスに慣れてきているようだ。

そして今日こそは、さらにもう一歩踏み込ませてみせる。

「今日は何処に連れて行ってくれるの?」と言うマリアに、「とりあえず、俺の部屋に連れて行くよ」と言った。

彼女は「えぇ! 行かない、行かないよぉ!」と、いつもどおりの挙動不審な態度になった。

俺:「連れてってあげるよ」

マリア:「だって、だって、お食事は?」

俺:「まだ4時だぜ? 時間早いだろ? 家でゆっくり、マッタリして、それから食事に行こう」

マリア:「夏紀の家に着いても、私、車から降りないから!」

俺:「わかった、わかった」

結局、俺の家の駐車場に着くと、彼女は俺のエスコートに従って潔く車から降りた。

彼女を部屋に招き入れ、ソファに座らせる。
その隣に俺も座る。
彼女を抱き寄せ、キスをする。
耳に。頬に。首筋に。そして唇に。
そして、彼女をベッドの上に誘導する。

その気になりつつある彼女の気持ちをより昂らせるために、俺は細心の注意を払い続けていた。
全てが順調に、そしてロマンティックに展開していく。

あんなに気難しかったマリアが、今やその身のすべてを俺に委ねようとしている。

二人でベッドに横になり、熱いキスを続けた。

「抵抗」がはじまったのは、俺が次の行動に移ろうとしたときだ。

彼女が履いているジーンズのベルトを外そうとしたあたりから、マリアはいつものようにギャーギャーわめきだした。

「えー! えー! 脱がしちゃうの〜?」
「ヤダー! ヤダー! 恥ずかしい!」
「ウソぉ! 夏紀、ちょっと待って!」
「⌘〒*⇒☆♂…? %δ=▽♨♀…!」

彼女の唇を俺の唇で塞ぎ、舌を絡ませて喋れないようにした。…マリアにとっては情熱的でエロティックなキス、だったのだろうが、俺にとっては、あまりにもうるさいマリアを黙らせるための苦肉の策だった。まぁ、結果的には一石二鳥だ。
彼女の口から漏れてくるのは「わめき声」ではなく、「吐息」だけになった。
キスに夢中にさせているうちに、ベルトを外し、彼女のジーンズを脱がし、下着の中に手を入れた。

…溢れるほどに濡れていた。

俺は遂にマリアの「最終抵抗」を突破した。

今日、マリアを自宅のマンションまで迎えに行ってからここまで、要した時間はわずか4〜50分。
ここまでくれば、後は惰性に任せても上手くいく。これまでの努力が実ったのだ。

最早、彼女に抵抗する術はない。
選択の余地もない。
主導権もない。
理性もない。
当然、今まで頑なに守ってきた貞操観念も消え失せてしまった。

そして俺は、彼女の中に入っていった。

ヴァージン・マリアは、処女を喪失した。

Fin.