先月、10月17日はアユミの22歳の誕生日。

その当日、彼女のバースデーを祝うために、俺はアユミを誘い出そうとして一通のメールを送った。

バースデーは何して過ごしてるの? ヒマなら俺が誘い出すけど。

10月17日 18時23分。彼女から送られてきたメールは以下。

あら、残念。
今日はこれから出掛けるの。また今度お願いします

「誰と? 何処へ? 報告義務は?」

ひ・み・つ☆

なにぃ? 俺に隠し事?
アユミさん、無駄だよ。いずれそれも暴いてみせる。

さて。こうしてアユミにフラれてしまい、バースデー当日に彼女を祝うことができなかったため、日を改めて、10月20日にも彼女を誘い出そうと試みたが、結局その日もアユミを捕まえることはできず、「さすがにモテる女は違う。当日いきなり予定を空けてもらうのは無理だな」と悟った俺は、後日、正式に彼女のスケジュールを押さえることにした。

最終的に、俺がアユミの誕生日を祝うことができたのは、バースデーの一週間後、10月24日になった。

俺が用意した彼女へのバースデー・プレゼントは、Louis Vuitton のキーケース。
特に深い意味合いは込めていないが、なかなか喜んでもらえたみたいだ。

そしてメインイベントはここから。
俺は、10月17日、誕生日当日、アユミが「誰と」「何処で」「何をしていたのか」を知りたかった。

「旅行に行ってた」とアユミは答えた。

「誰と?」さらに突っ込む俺。

「…ちょっとね。今、いい感じの人がいるの」と彼女。

意中の男性と一泊二日の小旅行へ行き、最高のバースデーを過ごせたようだが、俺にはわかっている。これはアユミにとって、単なる「火遊び」だということを。

事実。アユミは今、3人の男性から熱烈なアプローチを受けている。
アユミは彼ら3人を天秤にかけている最中なのだ。

俺との出逢いがキッカケとなり、第二次モテ期を迎えているアユミ。
水面下では彼女をターゲットにしている男性は3人どころではないはずだ。
そんな彼女のバースデー当日、いきなりメールして逢おうとしていた俺はかなりの愚か者だった。

22歳になった彼女に、「ハタチになったんだっけ? それとも、まだサバを読む必要は無い?」とからかった。

アユミは「サバを読む? ハタチ? 有り得ない! ハタチの頃よりも今のほうが絶対いい!」と答えた。

彼女は正しい。
この日のアユミは、今までで一番、最高に輝いて見えた。