今日は「二兎を追うもの一兎をも得ず」という誰もが知っている諺(ことわざ)について、異論を唱えたい。
当然ご存知かと思うが「目の前を走る二羽のウサギを、欲張って両方とも追いかけていると、結局は一羽も捕まえることができないよ」という意味だ。
常識的な論理だが、実はこれ、恋愛にはまったく役に立たない。
特に男性が女性にアプローチする際、「二兎を追うもの一兎をも得ず」という考え方は悲惨な結果を招くことになる。
人生の多くの事柄がそうであるように、女性へのアプローチも所詮「確率のゲーム」だということに気付くべきだ。
一般的に「一人の女性を一途に追いかけたほうが良い」と考えがちだが、これの何がいけないのだろうか?
それは、ターゲットの女性をたった一人に絞っている男性には、「余裕」がないからだ。「余裕」がないと、「自信」もなくなり、「自信」がないと「大胆な行動」もできなくなる。女性を誘惑し、惹き付けるためにはある種の「刺激」が必要になるのに、たった一人の女性しか追いかけていない状態では、「失敗したらもう後がない」という切羽詰まった思いが、男性を必要以上に追いつめ、不安にして、女性を引きつけるための魅力や一歩を踏み出す勇気を根こそぎ奪ってしまう。
「自信」や「余裕」がなく、「大胆な行動」もできず、「刺激」のない男性に惹かれる女性はいない。
対して、同時に複数人の女性を口説いたり、同時に複数人の女性と交際していると、ハッキリ言って、自分は誰が好きなのかさえわからなくなる。
エロティックな表現の際どいニュアンスの冗談を言って彼女の心を揺さぶったり、ありのままの自分をさらけ出し、本音を語って共感を得て、心のつながりを築いたり、失敗を覚悟でいきなりホテルに誘ったりすることができる。
「彼女にフラれても大丈夫だ」、「俺には彼女以外にも素敵なガールフレンドがいる」という思いが、男性をより大胆な行動に駆り立ててくれるのだ。
そして、「大胆な行動」は、ほとんどいつだって、当初自分が望んでいた以上のものをもたらしてくれる。
つまり、俺が提案する ウサギ 女性の追いかけ方は、「十兎を追う」ことである。
「十兎を追うものニ兎を得る」なんてどうだろうか?
確率にすると「20%」だ。
この勝率が気に入らないのであれば「十兎を追って五兎を得る」でも、「十兎を追って八兎を得る」でも、好きな数を選べばいいだけの話だ。むしろこれくらい強気のスタンスで挑みたい。
結果的にそのほうがうまくいくことを、俺は経験から悟っている。これは、女性へのアプローチの基本姿勢だ。
ほんとうに素晴らしい、心の底から捕まえたいと望む唯一無二のウサギ、──本命の女性が現れたらどうするか?
答え:何も変わらない。十兎を追い続ける。
そもそも交際している全ての女性が「本命」であり、そんな愚かな概念が男性の心の中に芽生える余地は残されていない。
もし、それでもなお「本命」の女性が存在しているのなら、虎視眈々と「本命」の獲物を狩るチャンスをうかがいつつ、他の九羽にも “ちょっかい” を出そう。
その「ちょっかい」が男の中に「余裕」を生み出すのだ。
「十兎を追う」ことで自分の魅力を高めることができるし、さらにその行動によってうまく「本命」の女性の嫉妬心を煽ることができれば、獲物──いや失礼、彼女のほうから罠に飛び込んでくることもあるだろう。
つまり、最終的には「十兎を追うもの全てを得る」のである。