今夜はパーティー!
Episode.7 「Christmas Party」

2008年12月22日。
筑波大学生たちが主催するクリスマス・パーティー。
おそらく、フランス人の友人たちとの、今年最後になるであろう最大のイベントだ。

さて。
このパーティーに参加するのに先立ち、俺はガールフレンドの一人、ヒロコさんと、ある約束を交わすことになった。
当日の朝、俺の部屋に遊びにきていた彼女が、唐突に「夏紀、約束して欲しいことがあるの」と言った。
もちろん、彼女の望みは快く引き受けるつもりだ。

  • ヒロコ:「今日は、『キス』は3人までにして!」
  • 俺:「…え??」

一瞬、目が点になった。
さらに、彼女は続けて「ディープキスは一回で3人分ね」と言った。

俺は笑った。
ヒロコの、こういう性格が好きだ。
ちょっとした浮気だったら許容する懐の深さ、自分に不都合なことでも笑いに変えてしまうセンス、そして、「どうせ最後は私のところに帰ってくるんでしょ?」という女の自信。…俺は、そんなヒロコに惹かれている。

俺:「OK。わかったよ。約束だ」
こうして俺はヒロコさんと別れ、パーティー会場へと向かった。

会場に到着すると早々に、主催者の一人である友人のJAからキスの洗礼を浴びた。
ヒロコさん。男性からのキスはカウントしなくてもイイよな?

そして続々と集まってくる参加者たち。
俺の友人たちの多くがこのパーティー会場に駆けつけてくる。
部屋の中はDJがかき鳴らす音楽と、人々の熱気で満ちていた。

友人のBPとは、お互いの女性関係のネタで盛り上がり、俺が他の女性と話をしている時には、「夏紀はスゴく優しいよ」とか「夏紀はカッコいいだろ?」とか言って、俺を援護してくれる。
ステファンとは、各種パーティーの事後報告を聞いたり、彼の友人の女性たちを紹介してもらったりした。
そしてビージャルとは、結局「友達以下」の関係になってしまったようだ。タイミングよく俺の目の前を通りかかったビージャルを呼び止め、声をかけると、「ゴメンナサイ。ハナシはしたくないの」と彼女。
さすがに、他の女性とのキスシーンを見せつけたのはマズかった。
ユカさんは、他の友人との飲み会、及び体調不良のため、このパーティーには不参加。
そして珍しく、パーティー終了間際に「アユミ」が合流した。彼女とは、パーティー終了後に屋台のケバブを食べに行き、その後別れた。

多くの、新しい出逢いがあった。
日本人の「リナ」、「モモ」、「ノゾミ」、中国出身の「セイロ」、「リューエン」、ポーランド出身の「アーニャ」、ベルルーシ出身の「ターニャ」、その他の国では、「エモリー」、「アカネ」、さらに名前を忘れたドイツ人女性やスペイン人女性とも親しくなった。
そう。
思いがけず、新たに知り合ったのはすべて『女性』だった。

パーティーがクライマックスを迎える頃、DJがマドンナの曲を流しはじめた。
ここ数週間の間に何度も耳にした曲だ。

4 Minutes / Madonna (feat. Justin Timberlake & Timbaland)

Madonna :
Come on boy I've been waiting for somebody to pick up my stroll
誰かが私のこと拾ってくれるのをずっと待ってた

Justin :
Well don't waste time, give me a sign, tell me how you wanna roll
時間の無駄はやめてさ、おれにサインちょうだい、どこいきたいか教えてよ

Madonna :
I want somebody to speed it up for me then take it down slow
There's enough room for both
私のために、スピードあげてくれて、スピード落としてくれる人がいいの
二人の場所は十分にあるから

Justin :
Girl I can hit you back just gotta show me where it's at
Are you ready to go? (Are you ready to go?)
今度はおれがしてあげられるから、どこがいいか教えてよ。いい?いくよ?

Madonna and Justin :
If you want it
Ya already got it
If you thought it
It better be what you want
欲しいと思ったときには
もうそれがあるから
頭で考えるなら
したいようにすればいい

If you feel it
It must be real just
Say the word and
I'ma give you what you want
感じるなら
それは本当だし
口に出せばいい
あなたのほしいもの、私があげる

Madonna :
Time is waiting
時が待ってる

Justin :
We only got four minutes to save the world
世界を救うのに、4分しかないよ

Madonna :
No hesitating
Grab a boy
ためらってなんていられない
男のコ、見つけなきゃ

Justin :
Go grab a girl
女のコ、見つけにいかなきゃ

あなたに質問がある。

たとえば、もし、世界が残り4分で崩壊するとしたら?

たとえば、もし、今夜が人生最後の夜だったら?

あなたは、残されたその時間をどう過ごす?

──人生は、パーティーだ。
じっと座っていることなんてやめて、立ち上がって飛び出そう。

そう。俺は今夜も、仲間と共にパーティーを楽しむ。