「下妻物語の主人公、竜ヶ崎 桃子と交際している」
俺がそんなことを言いだしたら、あなたはその言葉を信じるだろうか?
それとも、「また夏紀がおかしなことを言いはじめた」と思うだろうか?
【下妻物語】や【竜ヶ崎 桃子】の存在を知らないあなた、または忘れかけているあなたのために、以下、簡単に【下妻物語】を紹介する。
【下妻物語】は2004年5月より公開された映画で、「嶽本 野ばら(たけもと のばら)」氏による同タイトルの小説が原作となっている。
物語の舞台となるのは、タイトルが示すとおり、茨城県下妻市。著者はここに住んでいたこともあるようで、地理的な描写などが緻密で生々しく、リアルだ。
主演は【深田 恭子】と【土屋 アンナ】の2人。
深田 恭子が演じる主人公【竜ヶ崎 桃子】は、ロリータ・ファッションを愛する孤高の高校生。
対して土屋 アンナは、50cc原付バイクを愛する暴走族【白百合 イチゴ】を演じる。
物語はこの2人の友情に焦点を当て、馬鹿馬鹿しさの中にも多くの人生哲学が込められた、笑いあり涙ありの感動のストーリーだ。
さて。話を元に戻そう。
もし【竜ヶ崎 桃子】が実在する人物だとしたら、あなたは大変な興味を示すだろう?
さあ。
あなたのその期待に応えて、事の真相に迫ろう!
- 原作によれば、【下妻物語】の主人公、竜ヶ崎 桃子は、【下妻南星高校】に通う高校二年生で、ロリータ・ファッションに身を包む17歳の女の子。正式なプロフィールは無いが、作中で語られる緻密な描写から読み取ると、1985〜1986年生まれだと推測できる。
- 作中に登場する【BABY, THE STARS SHINE BRIGHT】通称「BABY」は実在のブランドで、竜ヶ崎 桃子は高校一年生のときに一目惚れして以来、ベイビーの服に対し、狂信的で熱烈な執着心を抱いている。
- 茨城県下妻市には、【下妻第一高等学校】と【下妻第二高等学校】、この2つの高校が実在し、残念ながら【下妻南星高校】という名称の高校は存在しないが、原作で語られている「進学率も高く…(以下略)」、また「学校の近くには誰も掃除をしない、神主さんも誰もいない小さな神社が…(以下略)」という描写から、【下妻南星高校】は、下妻第一高等学校がモデルになっていると読み取れる。
さて。
これまで挙げた情報の中から、【竜ヶ崎 桃子】に関するキーワードをピックアップしよう。
【1985〜1986年生まれ】
【下妻一高出身】
【ロリータ・ファッションを愛する】
【「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」の服に身を包んでいる】
さらに最重要項目として【「深田 恭子」並みにキュート】という条件も追加しようと思う。
以上、もし仮に、これらすべてのプロフィールに一致する女性が存在しているとしたら、その人物を「実在する竜ヶ崎 桃子だ」と主張する俺の意見に賛同せざるをえないだろう。
そう!
ここまで語ればもう充分なはずだ!
あなたの期待どおりの展開だ!
『竜ヶ崎 桃子』は、実在している!
いま挙げたプロフィールにすべて一致する女性が、この世の中にただ1人だけ、実在しているのである!
当然、冒頭の俺の台詞、「下妻物語の主人公、竜ヶ崎 桃子と交際している」という言葉も事実だ。
彼女は今、俺の隣にいる!
これこそ嘘のようだが、実在する竜ヶ崎 桃子は深田 恭子と肩を並べるほどの美人。
「超カワイイ♥」や「キュート♥」という形容詞は、ありきたりだが、彼女を一言で表現するための最適な言葉だ。そのような素敵な女性でなければ、彼女と付き合うことは無かっただろう。
正直に言って、俺はそれほど『下妻物語』に興味があるわけではない。
しかし、彼女、(実在する)竜ヶ崎 桃子は『下妻物語』を、そして深田 恭子が演じる(架空の人物)『竜ヶ崎 桃子』をそうとう意識している。
年齢や趣味はもちろん、あらゆるプロフィールが同一。「我が強い」、「個人主義」、「論理武装」という性格的な側面においても『下妻物語の竜ヶ崎桃子』と一致し、さらに奇跡的に、ルックスもそのまんま深田 恭子。
当然、本人が【下妻物語】を意識しないワケが無い。
下妻物語の原作者【嶽本 野ばら】氏自身、まさか本当に竜ヶ崎 桃子が存在しているとは思ってもいなかっただろう。
【下妻物語】は素晴らしい作品だ。しかしそれは所詮フィクションであり、創作であるという点において、俺が現在進行形で体験している『下妻物語』を超えることはできない。
「現実は小説よりも奇なり」
これから俺は、新しい「下妻物語」を語ろう。
これは真実の物語だ。
「真・下妻物語 Episode.2」へ続く。