2009年3月15日。日曜日。14時48分。
その日、仕事を終えたばかりの俺は、その夜のディナーを共にする相手を探そうとしていた。
第一候補として俺の脳裏に思い浮かんだのが「マリア」だった。
彼女とは事前に「近々一緒に焼き肉を喰いに行こう」と話をしていた。
そのため、彼女を誘うことに何の躊躇いも無かったし、まさに今日が絶好のチャンスだと思った。
まずは彼女の予定を探るために、簡単な一通のメールを送った。
マリア、今日は彼氏とデート?
約5分後、すぐに彼女からの返信のメールが届いた。
Date : 2009/3/15 14:53
From : マリア
Subject : おぉっ。デートは昨日♪
焼き肉行きます?('∀`)
…話が早かった。
俺が自分から誘うまでもなかった。
それから3時間後には既に、俺たちは彼女の家の近所にある牛角で焼き肉を喰っていた。
本音を言えば、食事の後、彼女を送り届け、そのまますぐに帰宅するつもりだった。…昼間の仕事の影響で、肉体的にかなり疲れていたからだ。
しかし、マリアとの会話が予想以上に盛り上がったため、店を変えてもう一件だけ呑みに行こう、という流れになった。
俺たちが向かったのは、つくば市内にある居酒屋。
このサイトでも何度も登場している、昔、俺がよく利用していた「M's倶楽部」という店だ。
アルコールが入り、軽く酔いはじめたマリアに、今付き合っている彼氏のことを訊いてみた。
すると彼女は「今はお付き合いしている人はいないんです」と語った。
話がおかしいじゃないか?
昨日、彼氏とデートしてたんだろ?
俺が問いつめると、昨日は同僚たちと食事に行っていただけで、俺が送った「今日は彼氏とデート?」というメールに触発されて、意味も無く、どちらかと言えばジョークとして、「デートは昨日♪」という言葉を使っただけだと言った。
そこで俺は、これまでの過去の恋愛遍歴を探ることにした。
マリアは曖昧に話をはぐらかし続け、俺は結局、過去の男性関係を暴くことができずにいた。
しかしその代わりに、マリアは自分の恋愛観を雄弁に語りはじめた。
そして、数時間に渡って彼女の話を訊き、本心を探っているうちに、俺は一つの決定的事実に気づいてしまった。
はじめは「もしかして…?」という疑惑だったが、マリアの言葉を聞いているうちに、それは確信に変わった。
マリアは、処女だった。
つづく。。。