俺とバイオレットの恋愛関係は、まさにゲームのようだ。

恋愛も、ゲームも、どちらにも同じようなルールが働き、同じような原則が影響している。では果たして、【恋愛 = ゲーム】という公式は成立するのだろうか?

2007年4月22日。
俺は友人の女の子【マリー】の結婚式に招待されていた。

マリーと俺とは高校の同級生。彼女とは10年以上も付き合いがある。そのため、結婚式、及び披露宴の出席者も共通の友人・知人が多く、同窓会のような雰囲気だった。

その当時、俺は10ヶ月連続で結婚披露宴に招待されるほどの結婚ラッシュが続いており、毎回新鮮な感動を体験していたが、今回のマリーの挙式は、俺にとって、他とはまったく違ったインパクトのある、大きな意味のある出来事となった。

マリーと同じく、高校時代の同級生【バイオレット】との再会があったからだ。
学生時代の当時は面識があっただけでまったく親しくなかったが、この日を境に、俺とバイオレットは急接近することになった。

俺とバイオレットの共通の友人・知人たちは、この記事を読み、「もしかしてあの女性かも?」と詮索をはじめることだろう。

しかし、俺とバイオレットとの関係は周囲には秘密にしてある。秘密にせざるを得ない理由があるからだ。そのため、これ以上彼女の個人情報を公開することはできない。彼女の名前【バイオレット】ももちろん仮名だ。
名前の由来さえも教えることはできない。

さて。マリーの披露宴の二次会は、オシャレなイタリアンレストラン。
その席で、俺とバイオレットは隣同士の席になった。

もともと明るく、積極的で、話も面白い彼女。当然俺たちはすぐに意気投合。
俺は軽い気持ちで、電話番号やメールアドレス等、連絡先を書いた名詞をバイオレットに手渡した。

しかし、この一連のやり取りを俺たちのすぐそばで傍観していた新婦のマリーが、バイオレットの手から俺の名刺を取り上げると、「GEKI君はアブない男だから近づいちゃダメだよ」と、俺たちの目の前でその名刺をことごとく破り捨ててしまった。

さすがマリー。オマエなかなかやるな。

『GAME OVER』にこそならなかったが、俺は『一回休み』の状態に陥ってしまったようだ。
俺とバイオレットのゲームが始まろうとしていたが、俺はスタートラインに立つ前にいきなりつまずいてしまった。
そしてこの日、再び俺にチャンスが回ってくることは無かった。

次に俺にチャンスが回ってくることになるのは二ヶ月も後のことだった。

今度こそ本当に、俺とバイオレットのゲームが始まろうとしていた。