ある日、マリアが言った。
「GEKI、浮気はしないで欲しいの」と。

この言葉には困った。
そもそも、マリアとの関係のほうが浮気のようなものなのに。

俺は注意深く、言葉を選びながら、マリアに語り聞かせた。

「男ってのはね、誰でも皆、浮気する生き物なんだよ」と。

「うそ! そんなの絶対ウソ! 浮気しない男の人だっているもん!」とマリア。

「やっぱり、わかってないみたいだね。
しないのとできないのとでは、大きな違いがあるんだよ。
多くの男性は、したくてもできないというのが本音だ。チャンスが巡ってくれば必ずその誘惑に負ける。っていうよりも、その誘惑に抵抗しようとする感情さえも起きないだろうよ。もし仮に、ここに100人の男性がいるとしたら、そのうち…」

「GEKI、私以外にも付き合ってる女の人がいるんでしょ?」と、マリアが俺の言葉を遮った。

「聞きたくない答えが返ってくるような質問はしないほうがいいと思うよ。お互いのために」
そして俺は続けて言った。

「マリア、オマエは、俺のことが好き。俺もオマエが好きだ。好きな人同士がこうして一緒にいるのって、ごく自然なことだろ?
もっと自分に自信を持ったほうがいいと思うぜ?」

マリアは冷静に、俺の言葉に耳を傾ける。
しかし、やはり俺の意見は受け入れられないようだ。
それは、俺自身もよく理解している。
これまで出逢ってきた多くの女性たちも、例外無く俺の主張を否定してきた。しかしそれでも、最後に勝ったのは、常に俺のほうだ。
結局は彼女たちも、最終的には俺の意見を認め、俺の主張に賛同せざるを得なかった。
なぜならば、俺が語っているのは『真実』なのだから。
マリアは、今日まで26年間、男性に対して非現実的な妄想を抱いてきたお姫様。そんな彼女に、この真実は受け入れ難いはずだ。

マリアは言った。
「私の彼氏に限って、浮気するなんて有り得ない」と。

そう。そんな想いを抱く哀れなお姫様へ。
今すぐ軽率な考え方は捨て去れ。

多くの女性はこう考える。

  • 「私の彼は、他の女性には興味がない」
  • 「私の彼は、浮気願望がない」
  • 「私の彼は、二股できるほど器用じゃない」
  • 「私の彼は、そんな人じゃない」
  • 「私の彼は、浮気をしない」

オーマイゴッド。

なんて愚かな女性たち。

あなたが自分の彼氏に対して抱いている「私の彼氏は大丈夫」という幻想は、いつか必ず脆くも打ち砕かれるだろう。
これは、ある程度、恋愛経験豊富な女性なら既に気付いている事実。

健全な考え方は、こうだ。

男なんだから、浮気は当然。でも、彼は必ず私のところに帰ってくるの。

実際に俺も経験があるが、自分の彼女が、男性の浮気に対してこのような自信に満ちた態度を示した場合、当の男性本人はどのように感じるだろう?

男性は、自信に満ちた態度を示す女性が大好きだ。

しかも、「浮気をしても、私の彼は必ず私のところへ帰ってくる」なんてのは、男心を完璧に理解した最高の自信に満ちた台詞。
そんな自信に満ちた態度を示す女性を、男性が放っておくワケがない。

彼女の言葉通り、「彼は必ず彼女のところに帰る」ことになる。

「マリア。男性が浮気をするか、しないか、そんなことは大した問題じゃないんだ。…どうせ浮気はするんだから。そもそも浮気なんてのは、所詮は男性にとってただの火遊びに過ぎない。だから、男性の浮気に関する問題は放っておけ。重要なのは、男性の浮気に対するオマエの反応だよ。それはとても大切なことだ。少なくとも、俺たち男性にとっては」

つづく。